正直に言ってしまえば、私は
約束も守れない近未来とか宇宙とか
「未来系」に対して、信用をしていなかった。
それは水曜日の出来事だった。
水曜日は私のお休みの日。
「ゼロクラビティ」
映画館全体が酸素不足の様な気がして、
呼吸が浅くなって、そしてめまいがして、
走馬灯が描かれて、とうとう私は死ぬ。
その瞬間「私」はこの世界から消えてしまう。
そう考えると、とっても恐ろしくて涙が溢れた。
それは、「死にたい」とか「死んでみたい」とか
そういった願望じゃなくて「リアルな死」だった。
昔、小さい頃に家族が死ぬことを想像して、
こっそりお布団で泣いていたような、
初めて自分を傷つける時のような、
あのナイーブな重い感情。
きっと普通の人はこの映画で「生きる希望」を感じるのかもしれないけど
私は「死んで絶望」を感じた映画だった。
「愛の新世界」
日本にこんなガールズムービーがあったのかぁ
監督は高橋伴明で、
写真は荒木経惟という奇跡のコラボレーション。
原作「愛の新世界」は島本慶が風俗ルポの取材の場で出会った
64人の風俗嬢のナマの声を綴ったエッセイに
22歳のSMの女王様を被写体とした荒木経惟の
写真が彩られたルポ写真集。
これを聞いただけでゾクッとわくわくする。
映像はとても爽やかだった。
爽やかという言葉はオカシイかな?
いや、でもでも、社会の裏側を描いているはずなのに、
笑いと美とおまけにガーリー精神までも詰まっていて、
それでもって砂羽さんはビッチなくせに底抜けに明るいから、
きっとこれを人は「爽やか」と呼ぶのだと思う。
人の「陽」は愛だけじゃない。
映画って自由だし、
人生だって自由だ。ほんとうは、なんでもアリ。