月曜日

TOTO LE HEROS

 
 

 

トト・ザ・ヒーロー toto le héros
1991年公開映画 ベルギー/フランス/ドイツ
監督 ジャコ・ヴァン・ドルマル

今年の最後に素敵なフランス映画に出会えて良かった。
フランス映画って退屈って思うでしょ?それはあながち間違いじゃないけれど、
この作品に退屈なんてモノは存在しない。
ロマンチックには勝てない。

ほっそりとして美しく、妖精みたいなのに、
マリア様を呪い破壊、スーパーで放火しちゃう大胆さ。
 
イエローのワンピースは華のように美しくて、睫毛も髪の毛もくるっくる。
オレンジの唇は綺麗なライン。
特別美人とはいえないけど、醸し出すオーラが素晴らしい。
この少女の美しさが映画を支え、光を与えていた。
 
 
この映画にでてくる女達はみんな強い。
姉のアリスは、トマへの愛の証に火を放ち、母親は食べるために肉の血を流す。
アリスの面影を残すエヴリーヌは、トマに会えずにいた後も再婚して立派に年老いている。
それに比べてトマは、アルフレッドと入れ替わりたいと思いつつも、
愛する女達の勇敢ぶりを横目に淡々と老いていく。
 
トマはもっと正々堂々と小さい頃から問題と向き合えば良かったのに。
口に出して、話し合えば良かったのに。
そう思う人もいるかもしれないけど、「生」の始まりは「死」でしか解決出来ないというのを
幼い頃から彼は知っていたのかもしれない。
 
 
シャルル・トレネの歌う「ブン!」も非常に効果的で。
チューリップは踊り、パパがピアノを弾いて歌い、
その横ではアリスがトランペットを吹く。
家族が幸せだったころの象徴的風景が目に浮かび上がって、涙が出そうになる。
なんて浪漫チックなんだろうってうっとりする。

喜びや悲しみが、過去と未来が交互に振り掛かってくる。
その度に心臓はぎゅーっと縮むし、目から涙が流れる、嬉しくてニタニタしちゃう。
まるで天から砂糖と塩が交互に振り掛けられているかのようだった。
少しのミステイクでしょっぱくなったり、甘くなったりするはずなのに、
この映画は絶妙なテイスティングになるもんだから驚き。
 
美味しかったです。ごちそうさまでした。

Mr.Nobodyもそうだけれど、どんな選択をしようが、決して間違いではないし、
それぞれの人生に意味がある、ってことを監督は言いたいんだろうなと思いました。
 
(Mr Nobodyもとても美しくて大好きな作品なの。。。)

なんだか、ちっぽけな自分の日々の生活も愛おしく思えるね。