「赤い航路」はPascal Bruckner(パスカル・ブルックナー)が1981年に書いた衝撃的なミステリー小説の"Lunes de Fiel(意味は苦い月)"を鬼才と呼ばれるロマン・ポランスキーがより刺激的に、且つよりロマンチックに映画化した作品。ロマン・ポランスキーは変態的な倒錯愛の世界を描き、女の献身的というより自虐的な愛とその結果に生じた愛すればこその復讐劇をもって究極の愛を追求している。ちょっと他人の性生活を覗いてみようという好奇心がとんでもない深淵を覗くことに。 形は関係なく、ただ愛し合う 男女、愛し合っていたい男女。 気持ちが結びついていけばいくほど、 相手の身体に飽きがくる、というパ ラドックス。 そこで、セックスレスでも幸せと割り切れる、割り切ってしまう、のが 凡人の私たちなのだけど。 必死に、身体によるつながりを保とうとするあまりに訪れるのは地獄の始まりということ。
牛乳を口から垂らして胸を揉み相手を興奮させてセックスに及ぶシーンが愛おしくてたまらなかった。牛乳という生々しくてエロチックなアイテムの使い方は意外と考えたこともなかったんだよね。震撼しました。
『ベティ・ブルー』を思い出させるような痛々しいシーン。ミミは本当に中年男のことが好きだったんだと思う。だから人間らしく扱われなくてもひたすら尽くし、
そして相手が惨めな立場に陥ったとき、見捨てるのではなく復讐する。傷ついて変わり果てていくミミを見るのはとても辛かった。男に捨てられて泣いて縋りついた自分をちらっと思い出したりもした。
「彼女はまだ自分を愛しているのではないか?無関心な相手をいたぶったりはしないだろう。」
中年男が思いを馳せるシーンがあるけれど、 まさに「好きの反対は嫌いではなく無関心」だね。
ヒュー・グラントも、
"Anything you can do, I can do better"と妻に言い放たれてしまう、情けない男の役にぴったり。いつも以上に下がった眉毛。情けなさ120パーセント。
その証拠に愛の告白のシーンは、どの映画よりも飛び抜けてロマンチックだった。