全体的に目隠しをされてモノを触っているような気持ち悪い感覚に陥っていたから鳥肌が止まらなかった。どうしようもなく醜悪な生身の肉体をダイアンアーバスのようにポートレートとして撮ることによってフリークスたちの本当の姿を見れた気がしたからかな。
「伝記映画ではなく、完全なフィクションで、オマージュである」という潔い冒頭にとても好感を持った。全くその通りだった。単なる映像による芸術表現にしか過ぎないこの作品が、ここまで人の心を感動させることが素晴らしいと思った。
私はこういったモノたちが大好きだってこと、最近どうも忘れていたようで、とても悲しくなった。それはきっと日々の生活が愛に満ちあふれた充実した人生に違いないから素晴らしいはずなんだけど、こうやって大人になっていろいろ忘れていくんだなあ。そう残念に思う反面、再度こういった感情を沸き上がらせる映画という媒体に感謝をした。
何年ぶりに千葉に住んでいる祖母が仙台にやってきた。私の部屋にきて私が作った映像を観て言った一言。「高級な脳みそだねえ」。こっそり泣いてもいいかな。